文章力UP!好きな漫画やゲームのことを質問して説明させよう!

夏休みの宿題で一番厄介だったのは何でしたか?計算ドリルとか漢字の書き取りなどは何とかなったとしても、「日記」や「読書感想文」は手こずった方も多いでしょう。自分である程度の文章を書かなければいけないというのは、学校の授業でもなかなかありませんし、しかも時間がかかることを考えるだけで面倒だったり飽きてしまう課題だったのではないでしょうか。

【文章を書く、要領をまとめて説明できる力をつける】

感想文でも日記でも、大人になってからの報告書でも、伝えたいことを簡潔にまとめて、順序良く説明することが肝心です。学校でも「起承転結」で文章を構成しましょうと教わっているでしょう。あるいは、「5W1H」(いつ、どこで、誰が、何を、どうしたか)で説明をすることも習ったことでしょう。いずれにしても、物事を順序よく整理して、どういう事なのかをイメージしやすいように説明しなさいという趣旨であることはわかりますよね。でも、それを文章にするのは難しいんです。

【ゲーム日誌を書く、マンガを読んだ感想を訊く、好きなことを話すことで説明上手にさせる】

ゲームには攻略法があったり、ある程度の段階で先へ進めなくなる壁が用意されていたりします。その先へ進むために、「ゲーム日誌」をつけてみるのはお薦めです。今までのプレイ状況を箇条書きでも文章にするのでも構わないので、とにかく記録として残してみる。今日はどんな風に工夫してやってみたのか。その結果どうだったのか。先に進めたのはどうしてか。これらを書くことによって、自然と文章を書く力が備わってきます。あるいは文章を書くことが苦にならなくなってきます。

また、書くのが苦手というお子さんには、今読んでいるマンガややっているゲームの内容を訊いてみるのも有効な方法です。言ってみれば口頭で読書感想文やゲーム体験日記を書いているようなものですから、まずは説明上手になることからスタートするのもいいでしょう。そのためには、日常のコミュニケーションをとる時間と、それらの作品に一緒になって興味を共有することが必要になります。ただ話しても聞いてくれないとなれば、話すこともしないでしょうし、マンガを読んで楽しかった、で終わってしまうでしょう。

【共通の話題は盛り上がり、そうでないときにはシラけてしまう】

大人同士の付き合いでもそうでしょうが、自分に興味のあることで相手が共感してくれる、あるいは興味を示してくれると話も盛り上がりやすいものです。一方で、「ふ~ん」とか「で?」とか「あ、そう」程度の答えが返って来ると、話は盛り上がりませんし、「この人は私の話を聞く気がないな」と察してしまいます。「○○ですが、何か?」というフレーズが一時期流行りましたが、これこそ話を打ち切る、相手に有無を言わせない一言でしょう。

お子さんの「聞いて、聞いて!」に対して、これらの反応は避けるべきです。もちろん手が離せないときもあるでしょうが、その時は「今、○○をしていてちゃんと聞けないから、後からゆっくり聞かせてね」などのフォローをするようにしたいものです。下手に聞いたフリをして何も聞いていなかったりすると、かえって逆効果になることもありますから、話を聞くならきちんと聞いて反応してあげる。長くてまとまりがないようであれば、それを簡潔にまとめる方向へ導いてあげることも大切です。そうした何気ない会話の中から、話し上手になっていくお子さんも沢山いますから、その芽はしっかり育ててあげてくださいね。

知らなきゃ損!?漢字の読み書きが上達する、基本的な文字の法則

漢字は書くだけでなく読むことも大事です。今更当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、この「読む」ができない子の多いのも事実なんです。

【漢字を読めるようになるには、部首とそれ以外の部分に注目】

漢字には「部首」があるのはご存知ですよね?「にんべん」とか「うかんむり」とか「もんがまえ」なんて習った記憶があるでしょう。部首を覚えることも大切ではありますが、漢字の読みを覚えるときは、むしろ「部首ではない部分」に注目するとはかどるんです。

例えば「腹・復・複」「白・泊・迫・箔・拍・柏・伯」「青・清・晴・精・静・靖・請」「同・胴・銅・洞」は全て「ふく」「はく」「せい」「どう」と読みます。部首ではない方が同じことに気づかれたでしょうか。このように、漢字の読みにはある程度の法則が通用します。

【この法則が通用するのは音読みか訓読みか】

日本語で使われる漢字には、「音読み」と「訓読み」があります。このうち、先に書いたある程度の法則は「音読み」にのみ通用する方法です。日本独自の読み方でもある「訓読み」には通用しないので注意してください。上の例だと、「白い・泊まる・迫る・かしわ」「青い・清い・晴れ・静か・やす・請ける」と、読み方は全くことなる物になります。

【漢字の読みは難しくないと思わせるには、音読みをマスターさせること】

お子さんに漢字を親しんでもらうには、まず「音読み」で先の例のような言葉を覚えさせることです。そこから漢字には同じ形のものは同じ読み方をする傾向があるということに気づいてもらい、その後、日本語独自の読み方である「訓読み」に取りかかることをお薦めします。いきなりあれもこれもというのは難しいことです。まずは「あれ?意外と簡単だね!」と思ってもらうことから始めましょう。

【読みや部首を指定して、書かせる方法も楽しく書き取りができるコツ】

楽しく取り組める方法としては、「ひとつのテーマで書けるだけの漢字を書き出してみる」というものがあります。『はく』と読む漢字を思いつくだけ書く、『色の名前』が入っている漢字を多く書いてみる、「へん」や「つくり」を学校で習ったら、『にんべん』の漢字を1個でも多く書きだしてみるなど、ゲーム感覚で漢字の書き取りをさせてあげると、お子さんも興味を示して一所懸命に考えることができます。

【裏技?漢字がわからないときは「読み」で思い浮かべてみる】

全てで通用するわけではありませんが、おおよその漢字の法則を理解しておくと、テスト対策にもなるんです。漢字の書き取り問題が解らないとき、「読み」を見てこれかな?とヤマを張ることができたりするんですね。「労ドウ」の「ドウ」が解らなかったら、「動く」という字が「ドウ」って読むよな…という考えをきっかけにして、「働く」という字が思い出せることもあるので、漢字の「読み」の法則は覚えておいて損はないですよ。ただし、それにばかり頼って漢字を覚えないというのはいけないですが。

誉める!「○○だね」の一言で、文字に対する意識は大きく変わる

人間の心理というのは面白いもので、「誉められた事に対しては自信をもち、批判された事にはやる気をなくす」性質が多分にあります。中には批判されたことで「見返してやる!」とがむしゃらになる事もありますが、こと勉強に関しては、モチベーションを下げてしまう子が多いです。

【字を書くことに慣れさせるためには、批評ではなく誉めることから始める】

子供の書く字は大人よりも綺麗ではないものです。特に男の子は、直線的で枠一杯に豪快な文字を書く傾向があります。それを「もう少し綺麗に書けないの?」とか「見づらい字だねぇ…」と批評するのはNG。この些細な一言が、字を書くことを嫌いになるきっかけになるんです。因みに筆者はこれで書道が大嫌いになりました。

【真似をすることで上手くなる!上手くなれば覚えも早くなる!】

書道は大嫌いな筆者ですが、字を書くことは大好きです。その違いは「筆で書く字と鉛筆やボールペンで書く字は全然違うから」。書道で悪い評価を受けていた筆者は、不思議なことに小学生の頃から「綺麗な字を書くね」とよく誉められていました。特定個人ではなく、多くの人から言われていたので、子供ごころに大変な自信とやる気につながっていたことを記憶しています。

では、筆者がどうやって字を書くことを好きになったのか。それは看板のレイアウト文字を模写することがきっかけでした。私の母は家で看板を描く仕事をしていました。今でこそ看板もパソコンなどの機械で作られますが、昔は全部手書きだったんです。それを見ていて「面白そうだなぁ」と思い、真似をすることで綺麗な字を書くことができるようになったんです。授業中にいたずら書きをする子がよくいますが、筆者は教室に貼ってあるスローガンとか、教科書に書かれている気になった漢字を、明朝体とかブロック体などの様々なフォントでレイアウトする変わった子でした。おかげで事務職に就いたときには「お前はワープロみたいな字を書くな」と上司に言われたものです。

教科書に書かれた文字を模写するわけですから、当然漢字を書いて覚えることができるんですね。最初は簡単な文字から始まり、徐々に画数の多い、「憂鬱」とか「煩雑」とか「繁盛」なんて文字をレイアウトすることに楽しさを覚えました。難しい字ほど、書けたときの喜びは大きいものなんですよ。

【真似をするきっかけの作り方】

筆者のようなきっかけは殆どないでしょう。では、どうするか。それこそ「お子さんの興味のあること」の出番です。漫画のタイトルでもゲームのパッケージでもOK。「この文字カッコいいよね。真似して書ける?」と話すだけで効果は全然違います。徐々に教科書の漢字にも興味を持つように仕向けていければいいんです。そして、絶対に誉めること。最初は下手で当たり前。下手な所を指摘するより、上手に書けた所を誉めることで子供は喜びを覚えます。

【真似してはいけない文字に要注意!】

と、模写の重要性を説いてきましたが、携帯やパソコンの小さな文字は真似てはいけません。サイズの都合上、横線が一本なかったり、見づらくて正しい文字を覚えることができないんです。それと、例外的に鉄道会社の「鉄」というロゴは絶対に真似てはいけません。「金を失う」と書く「鉄」を縁起が悪いとして、「金に矢」というロゴを利用していることがあります。このロゴを覚えていた筆者は、高校生のときに行なわれた漢字書き取りコンクールで、単独満点達成を逃した物凄く悔しい思いをしています。

漢字は書かなきゃ覚えられない!楽しみながら漢字を書くには!?

子供のうちから携帯やスマホ、パソコンを使いこなせるようになるのも一つのステータスになると思いますが、反面、漢字を覚えることに関しては非常によろしくない面を持っています。やはり漢字は書いて覚える、これが基本中の基本ですね。

【字はペンを持って書かないと驚くほど下手になる】

別の所で自慢話をしますが、筆者は子供の頃からず~っと「字が上手い」と言われ続けてきました。おかげで履歴書の特技では「字を書くこと」とためらいなく記入できましたし、実際に面接官に「男の人の字じゃないですね」と誉められてるのかよく解らない評価をしていただいたこともあります。しかし、あるきっかけで最近は物凄く字が汚くなったことを感じています。

そのきっかけは、「自分でペンを持って書く機会が大きく減ったこと」。連絡は携帯やパソコンのメール、原稿を書くのもキーボードで入力。自筆で字を書くことがなくなって、ある日お礼の手紙を手書きで…と思って気がついたんです。「手が思うように動かない!」。直線を書くつもりがブレて波打ってしまったり、大きさの加減ができなくなったりすることにショックを隠せませんでした。それだけ日頃から「書く」という作業が大切だということなんですね。

【キーボードや携帯の入力で漢字は覚えられなくなる】

これも体験談ですが、筆者は国語が得意で、漢字の書き取りには自信がありました。実際に受験はしていませんが、無料の模擬試験のようなものでは漢字検定準1級か2級は取れるだろうというくらいの結果は出せていました。しかし、最近になって、「あれ?これはどういう漢字を使うんだっけ?」と悩むことが増えてきました。年齢のせいではない(そこまで歳をとっていない)と自分では分析しています。導き出した答えは、「自分で書かなくなったから」。パソコンでも携帯でも、入力すれば候補の漢字が自動で表示されますよね?それを選択するだけなので、覚える必要がないんです。

もちろん、使うべき漢字は理解していないといけません。しかし、その字を1つ1つ、一画一画まで覚える必要はなくなってしまっています。やはり漢字は「自分で書いてこそ覚えられるし、覚えていられる」ものなのだと実感しています。これをご覧になった親御さんで、「そう言われれば…」と感じた方も少なくはないでしょう。

【子供には書かせること】

一度覚えた大人でさえ、書かなくなったことで忘れてしまうんですから、お子さんには是非「書いて覚える」ことを実践させてあげて欲しいと願うところです。特に覚える時期である学生の間は、自分でペンを持って書くことが非常に重要な意味を持つという事を教えてあげてください。

「書くことで漢字を実体験する」。大人になってから書く作業が減ったとしても、子供の頃に蓄積された漢字の知識は絶対に役に立ちます。ワープロからパソコンへ、手紙からメールへと進化をしている中で、子供が文字を書くことの重要性は「覚えること」にあるということを、理解しておきましょう。

時間の計算も身近な話題で!会話を通して時間に強くなる!

割り算や分数と並んで算数嫌いになるものに、「時間の計算」があります。10進法(10を単位にした数字の世界)の生活に慣れているところが60進法(60を単位にした数字の世界)になってしまい、パニックになってしまうのは、子供の頃に多少なりとも経験をしてこられたのではないでしょうか。大きくなれば「10時10分の25分前は9時45分だ」とすぐに解りますが、その仕組みをしらないお子さんにとって、それは不思議な感覚でしょう。

【実際の約束ごとなどで30分後の計算をさせる】

他のテーマでもお話していることですが、勉強だと思わずに、実際の生活の中で体験するのが最も馴染みやすく、覚えやすい方法です。時間についても同じ。「後30分したら晩御飯だよ!何時かわかるかい?」と日常会話の中でさりげなく問いかけをしてみましょう。そこで正解を答えられなかったときに、アナログ時計を使って「今ここだから、30分後はここ。だから何時に晩御飯だからね」と教えてあげるのが効果を発揮します。

もちろん、1度や2度では覚えきえないでしょう。根気良く、今から30分後は何時何分かを徹底的に問いかけてみましょう。なぜ30分後にこだわるのかはお解りいただけるでしょうか。それは、時間をまたぐ場合とまたがない場合の計算を最も解りやすくできるのが「30分」という長さだから。9時25分の30分後は9時55分。これは簡単に解るでしょう。ならば、時間をまたぐ9時35分の30分後はどうするか。時計の針の丁度反対側をみれば、30分後の時間は10時5分だと解りますよね?まずはそれを覚えさせることです。

30分後の計算がスムーズにできるようになったら、35分後、45分後、55分後といったステップへ進みます。理屈は単純です。30分後の更に何分後かを計算できれば時間の把握はできたも同然。後はその逆、「何分前」を理解してもらうことだけです。これも「30分前」からスタートすれば、25分前でも55分前でも計算ができるようになります。

【10進法は5や10の単位、60進法は30や60の単位が覚えやすい】

これも大人になれば解る話なんですが、普段10進法で物事を考えている私たちにとって、5と10は非常に計算しやすい数字なんですね。子供の頃「九九」を暗記したときに、5の段だけとても解りやすかった記憶はありませんか?6の段や7の段で間違えることはあっても、5の段だけはスラスラと覚えられる子がとても多いんです。その理由は、一の位が5と0しかないから。5、10、15、20と、非常に解りやすい数の増え方をしていますよね?

これと同じように、時間の計算は30と60を基本に考えるのがお勧めです。60分後は丁度時計の長針が1周した時間ですし、30分は長針が丁度反対向きになる時間です。この基本を頭に入れさえすれば、18分前だろうと47分後だろうと簡単に計算できるようになります。60進法には60進法の考え方があるということですね。まずは日常会話で「30分後、30分前」を自然に覚えさせる。その後、応用として他の数字を当てはめて考える力を養うのが、時間を計算するためのオススメ法です。

割り算と分数はこんなに簡単!日常生活の数字を使って教える方法

割り算や分数は、計算が苦手な子にとっては非常に大きな壁になることがあります。それまでの「足す・引く・かける」には出てこない「割り切れない数」や分子と分母の関係を理解できなくなってしまうのが主な要因です。

【よく使われる割り算や分数の例題】

教科者やドリルでよく使われるのが、「6個のみかんを3人で分けました。1人いくつのみかんをもらえるでしょうか?」とか、「1つのケーキを3人で食べました。ケーキは1人でいくら食べれたでしょうか?」というもの。なるほど生活に密着した話題でとっつきやすいテーマではありますよね。ただ、これを割り算を知らない子供たちに説明し、理解させるのは結構大変なんです。

【本人の生活に密着した問題を与えることで、理解度は上がる!】

割り算や分数は、ゲームの勝ち負けにこだわるお子さんや、野球が好きなお子さんには非常に有利な問題を作ることができます。たとえば、「オセロを3回やりました。そのうち1回勝ちました。3回に1回勝てるということを分数にして書きなさい」とか、「今日の試合は4打数1安打でした。4回に1回ヒットを打つことを割り算で計算してみよう」と、半分答えを示しながら分数や割り算に取り掛かることができるんですね。特に「勝率」や「打率」というのは、勝ち負けのあるゲームや個人成績のあるスポーツでは頻繁に使われる数字です。これを上手く利用しないのは勿体無いですよ!

【割り算と分数は一覧表を作る!】

意外と思われるかもしれませんが、先に答えを提示してしまう方法もあります。先の例でお話をすると、10勝0敗から0勝10敗までの一覧表を作り、それで「10回中何回勝てたのかを分数で、勝率を割り算で」計算させるんですね。約分をしなければ分母は全て10(試合数)ですし、勝った数がそのまま分子になりますから、分数で悩むことはないでしょう。割り算は分数の意味と勝率についての知識があれば、10勝0敗なら10/10で答えは1。つまり勝率10割だという所まで理解することができます。3勝なら3/10で0.3。勝率3割ですね。勝率ではなく打率にすれば、「3割バッターでも10回に3回しかヒットを打てない」という例え話で興味を持ってもらうことができます。

ノートに縦線を引き、左から順に「試合数」・「勝ち数」・「負け数」・「勝ち数/試合数」・「勝率(勝ち数÷試合数)」とタイトルをつけます。そして、縦には数字を記入しておきます。こんなイメージで。

試合数 勝ち数 負け数 勝ち数/試合数 勝率(勝ち数÷試合数)
 10    10    0    (  )/(  )      (    )
 10     9    1    (  )/(  )      (    )
 10     8    2    (  )/(  )      (    )
最後の行は
 10     0   10    (  )/(  )       (   )
になります。

この( )に数字を当てはめ、計算することができれば、分母と分子、割り算の基礎は覚えたも同然。あとは細かな数字(17とか29とか)や大きな数字に対応できるような問題を作ってあげれば徐々に計算も上達していきます。まずは解りやすい数字から。そして徐々に難易度を上げていく。実際にやってみることで、子供の知識は蓄えられていくことを実感してみてください。

計算が苦手なお子さんには、より楽しみながらできる問題を作れ!

計算が苦手なお子さんは、ドリルや問題集で数をこなせ!とよく言われています。もちろん多くの計算をすることで慣れても来るし要領も得ることができてきますが、そうなる前に飽きてしまったり、イライラが募ってやる気を失ったりすることの方が気になります。周りには漫画やゲームなどの誘惑が一杯ある部屋で、どこまで計算に集中して取り組むことができるでしょうか。

そんな苦痛を軽くする方法も、意外と身近にあったりします。それこそがお子さんの興味や関心を持っていることの応用です。単純に数字の計算をするのではなく、その計算で何かを得られる方がやりがいもありますし、やってみようという気にもなっていくんですね。

【スポーツ好きなら成績を計算してみよう!】

男の子でも女の子でも、スポーツが好きなお子さんの場合はその成績を計算することで、自然と身についていくことがあります。自分の成績でもいいし、プロチームの成績を計算するのもいいでしょう。野球ならスコアボードで点数やヒットの数を足し算できますし、バレーボールや卓球なら全セットの合計を足すことで敵と味方の点差を求めたりもできます。サッカーやバスケットボールも、前半と後半の足し算や、シュート本数の計算もできますね。

【実生活で役立つことを計算させよう!】

女の子でお料理をするのが好きな子は、材料を計るときに自然と計算をしていることがあります。簡単な例ではカレーやシチューなどの水物系で、「800cc」を計るなど。計量カップで一気に800cc計れてしまったらおしまいですが、200ccのカップだと、4杯入れれば800になるという計算をしなければいけませんよね?1杯ずつ、「200、400、600、800」と数えてもいいでしょうし、「800だったら4杯だな」と暗算できていればなお良しでしょう。とにかく、自然に計算することで慣れる。これも効果的な勉強方法です。机に向かって計算するだけが算数ではない、ということですね。

【電卓の功罪】

電卓。ボタンを正しく押しさえすれば、すぐに正確な答えを求めることができる文明の力です。電卓には電卓の応用編というものがあって、それはそれで奥が深いのですが、小学生でまだ計算に不慣れなうちから電卓に慣れ親しんでしまうことは、計算能力を育てる点でマイナスに作用することがあります。作業効率を上げる大人の社会では欠かせないものですから、いつかは電卓の使い方もマスターすべきでしょうが、早ければいいというものではないんですね。自分の力である程度の計算をできるようになってからでも遅くはありません。

「そろばんのできる子は暗算も速くできる」とよく言われています。そろばんの玉をはじくには、瞬時に暗算ができなければいけないことは、少しでもかじったことがある方にはお解りでしょう。しかし、電卓では暗算能力は養えないんです。「5+8は10の位が1上がって、1の位は3になる」という動きや考えをする必要が無いんですね。ただ「5」「+」「8」と押すだけなので、自分では何も考えなくていいんです。これでは計算能力は身につきませんから、まずは自分で計算をする力を養うことに全力を傾けさせましょう。

公務員試験にも出る「ひっかけ問題」で子供の関心を誘え!

最初に、これをお読みのお父さん・お母さんに問題です。

①乗客5人が乗っていたワンマンバスに乗り、次の停留所で2人降りました。その次の停留所で3人乗り、1人降りました。更に次の停留所で4人乗りました。さて、今このバスには何人乗っているでしょうか?

②あなたはマラソンを8位で走っています。その後6位まで順位を上げ、ゴール直前で4位の人を抜いてゴールしました。さて、あなたの順位は何位だったでしょうか?

【ひっかけ問題で関心を誘う】

①の答えは、停留所ごとに考えれば解りますね。答えは「11人」です。「えっ?9人じゃないの?」と思われた方は、「自分と運転手」を数え忘れています。自分が乗った時点で、バスには乗客6人と運転手1人の7人が乗っているんです。その後は計算どおりで、7→5→7→11と変化しています。問題文の最後は、「乗客は何人」ではなく、「このバスには何人」という質問をしています。自分が乗ったこと、運転手がいることを数字で表していないために生まれる錯覚ですね。

②はもっとシンプルです。答えは「4位」。「えっ!3位じゃないの?」と思われた方は引っかかってます。4位の人を抜く前は、自分は5位なんです。4位の人を抜いたことで、自分が4位になったんですね。

このように、問題文をよく読み、状況を頭に思い描くことができるかできないかで導かれる答えも変わってきます。「状況判断」とも呼ばれるこの手の問題は、ちょっとした見落としで誤った答えを出す「ひっかけ問題」として知られています。2問とも正解できましたか?

【公務員試験にも出る、判断能力を求めるひっかけ問題】

ただのお遊び問題と感じられる方も多かったでしょう。しかし、この手の「状況判断」とか「状況分析」と言われるものは、公務員試験の一部にもなっているんです。求められているのは「状況をいかに正確に把握しているか」と、「出題者側が求めている答えの意図を理解しているか」です。昔のクイズ番組などでよく使われていた手法でもありますが、ひっかかった事をかえって楽しむことができる不思議な問題です。

このような文章問題は、ただ計算すればいいというものでもなく、イメージする力やその状況をどれだけリアルに考えることができるかも重要になってきます。算数(数学)の文章問題でも、それが応用されて活かされてきます。

【ちょっと懐かしい10回クイズも、注意力を養う事ができる】

一昔前に流行った「10回クイズ」を覚えていますか?「ピザと10回言っていて?」「ピザ・ピザ・ピザ…」「じゃあここは(ひじを指差して質問をする)」「ひざ!」「残念!ここは『ひじ』でした~」なんて、他愛のない言葉遊びですが、これは人間の反射という性質を利用したものです。一度引っかかったお子さんは、同じ問題には注意力を高めて引っかかることはなくなるでしょう。「ぴざ=ひざ」だけでなく、「~と10回言ってみて」と言われただけで、「これは裏があるな」と身構えることもできるようになるでしょう。状況判断の問題は、このような注意力と集中力を高める効果があるんです。

ダラダラやっても飽きが来る!目に見える目標を設定しよう!

人間の集中力には限界があるといわれています。個人差や作業の内容にもよりますが、30~90分ほどで集中力は欠けてしまうのだそうです。ましてやゴールの見えない作業になると、集中力だけでなくやる気も失せてしまうでしょう。

【目に見える目標を設定する】

お子さんの勉強は、ある意味でゴールのない作業をしているのと同じと考えられます。大人の労働と違って、計算ドリルや漢字の書き取りを終わらせたところで、給料が出るわけでもなく、何か目標に到達したわけでもない状態ですから、それだけ集中力や達成感も薄れやすくなるでしょう。それを補い、ここまでやれば目標達成という、「目に見える目標」を設定してあげることはとても有効な手段となります。

【山登りの快感は頂上に到達したときに味わえる】

登山をされたことがある方には理解していただけると思いますが、目標はあくまでも頂上にたどり着いて、眼下に広がる広大な景色を眺めることや、綺麗な空気を胸いっぱいに吸い込むことでしょう。険しい山道の途中で引き返すだけでは、目標が達成されたとは言えないですよね。

【山登りの仕組みで勉強の目標と達成具合を視覚的に感じさせる】

①ダンボール、あるいは発泡スチロールを山型にカットして、緑の色紙を貼るか絵の具やマジックで色を塗ります。その山に、10~20ほどの目盛り線を引いて、登山の達成状況をわかるようにしておきます。その山は壁にかけるかコルクボードに貼るなどして、目につきやすい場所に置きましょう。

②待ち針に登山家の紙人形を貼り付け、山のふもとに刺します。山の右端若しくは左端からスタートするイメージです。

③計算ドリルや漢字練習帳の目標をクリアしたら、目盛りの1段階上に人形をアップさせ、徐々に目標の頂上が近づいて来ていることを「目で見てわかるように」します。

もし、兄弟姉妹がいるときは、山の両サイドからどちらが先に頂上へ着くか競争させるのもいいでしょう。負けん気の強いお子さんであれば、俄然やる気も出てくる可能性が高くなります。そして、頂上に到達したときには一冊のドリルが終わるように達成感も用意しておくといいでしょう。報酬はないにしても、ちょっとしたご褒美をあげるのも喜びが増して、その後のやる気もでるでしょうか。

【日本一周や世界一周など、達成目標を設定してあげることが大事!】

山登りでなくても、日本地図をお住まいの都道府県からスタートして、課題をひとつクリアするごとに次の県へ移動する(色を塗る)などするのもいいでしょう。日本ではなく、世界地図にすれば、もっと大きな目標になるかもしれません。ただ、あまり最終目標が遠すぎると飽きてしまうので、「もうここまで来た!」とか「もうすぐゴールだ!」と喜びながら取り組める規模の目標設定が望ましいですね。42.195Km走ることを考えたら、10Kmマラソンの方が身近にゴールを感じられて、達成感も得られやすいのと同じです。

【なぜ勉強をしなければいけないのか理解できないうちは、楽しいからと思って取り組ませる】

正直な話、子供にとって勉強とは、「何でしなきゃいけないの?」というレベルのものなんです。「第一志望の高校や大学に入るため、公務員や大企業に入るため、沢山お給料をもらって安定した生活を送るため」なんて言っても、実感は湧かないでしょう。下手をすると、大人になってもわからないんですから(笑)。

受験や就職活動、社会で応用力を求められる場面など、実際に直面しないと勉強する意義は理解できないかもしれません。それまでは「勉強は楽しいからする」という意識で取り組んでもらうのが一番いい方法だと考えます。

勉強好きになる第一歩!特技や関心事を勉強に取り入れよう!

子供・大人を問わず、好きなことや興味のあること、そして得意なことには適応力や記憶力が高まります。逆に関心のないことや苦手なこと、嫌いなことには順応しきれず、物を覚えることも難しくなります。大人でも男性なら車や競馬の競走馬、野球やサッカーの選手の成績、パチンコやパチスロなど、女性ならファッションや化粧品のブランドなど、趣味や関心事には物凄い知識を持っているけど、仕事の方はさっぱりダメという人がいますよね?

【お子さんが何に興味や関心を持ち、どんな特技を持っているかを知ること】

夫婦共働きで、なかなかお子さんと接する時間が持てないご家庭も多いと思いますが、是非お子さんが何に興味や関心を持ち、得意としているのかは知っておいて頂きたいことです。例えばそれがゲームであっても、特定の漫画やアニメであっても構いません。そして、長所は何かも、よく観察してあげてください。

【好きなことを加工、応用して勉強に取り入れる】

そんなことが簡単にできるか、と言われてしまう話ですが、お子さんの興味や関心事を勉強の中に取り入れることができれば、その勉強に対して何倍もの集中力と記憶力を発揮することができます。算数の苦手な子は、計算ドリルを何問解いても計算には強くなりにくい性質があります。九九の丸暗記などがその好例でしょう。「3×6=18」は覚えていても、「6×3=??」という子は沢山います。元々その方面に関心がないのに無理に頭に詰め込もうとしても、大人のような要領も心得ていない子供には効果は薄いんです。

例えば、特定のプロ野球チームを応援している子には、そのチームや選手の成績をモチーフにした計算問題を作ってあげるだけで関心はグッと高くなります。野球ゲームなどをするなら、自分の成績を計算するのも楽しみのひとつにできるでしょう。これがサッカー好きの子であれば、シュートの本数とゴールの本数に置き換えてあげればいいでしょう。「そんなことか」と思うかもしれませんが、頭の回転というのはそういうちょっとしたことで大きく変わるものなんです。

【いかに楽しく机に向かえるかがポイント】

「やだなー、面倒だなー」と思って勉強するのと、「これはどうなんだろう?」と思って勉強するのとでは、やはり成果に大きな差が出てきます。やっつけ仕事が手抜きになりやすいのと同じで、やりたくない勉強はその場だけやり過ごせばいいという感情が働き、結局何も覚えていないということもあるんです。ちょっと手を加えてあげることで「答えが知りたい」と思って取り組んでもらえればラッキー。いかに楽しく、興味を持って机に向かわせるかがポイントになるわけです。

【一人でやるより一緒に楽しんでくれる人がいるのがベター】

本来であれば一人で勉強するのがベストでしょう。お仕事や家事などでお父さんもお母さんも忙しいというのもよく解ります。しかし、できる範囲で一緒に考えてあげる。答え合わせをしてあげるだけでも「一緒にやってくれる人がいる」とやりがいも変わってきます。どの教科でも自分が楽しんで取り組める、そしてそれをサポートしてくれる人がいるのは心強くもあり、やらなきゃという使命感も出てくるものです。