誉める!「○○だね」の一言で、文字に対する意識は大きく変わる

人間の心理というのは面白いもので、「誉められた事に対しては自信をもち、批判された事にはやる気をなくす」性質が多分にあります。中には批判されたことで「見返してやる!」とがむしゃらになる事もありますが、こと勉強に関しては、モチベーションを下げてしまう子が多いです。

【字を書くことに慣れさせるためには、批評ではなく誉めることから始める】

子供の書く字は大人よりも綺麗ではないものです。特に男の子は、直線的で枠一杯に豪快な文字を書く傾向があります。それを「もう少し綺麗に書けないの?」とか「見づらい字だねぇ…」と批評するのはNG。この些細な一言が、字を書くことを嫌いになるきっかけになるんです。因みに筆者はこれで書道が大嫌いになりました。

【真似をすることで上手くなる!上手くなれば覚えも早くなる!】

書道は大嫌いな筆者ですが、字を書くことは大好きです。その違いは「筆で書く字と鉛筆やボールペンで書く字は全然違うから」。書道で悪い評価を受けていた筆者は、不思議なことに小学生の頃から「綺麗な字を書くね」とよく誉められていました。特定個人ではなく、多くの人から言われていたので、子供ごころに大変な自信とやる気につながっていたことを記憶しています。

では、筆者がどうやって字を書くことを好きになったのか。それは看板のレイアウト文字を模写することがきっかけでした。私の母は家で看板を描く仕事をしていました。今でこそ看板もパソコンなどの機械で作られますが、昔は全部手書きだったんです。それを見ていて「面白そうだなぁ」と思い、真似をすることで綺麗な字を書くことができるようになったんです。授業中にいたずら書きをする子がよくいますが、筆者は教室に貼ってあるスローガンとか、教科書に書かれている気になった漢字を、明朝体とかブロック体などの様々なフォントでレイアウトする変わった子でした。おかげで事務職に就いたときには「お前はワープロみたいな字を書くな」と上司に言われたものです。

教科書に書かれた文字を模写するわけですから、当然漢字を書いて覚えることができるんですね。最初は簡単な文字から始まり、徐々に画数の多い、「憂鬱」とか「煩雑」とか「繁盛」なんて文字をレイアウトすることに楽しさを覚えました。難しい字ほど、書けたときの喜びは大きいものなんですよ。

【真似をするきっかけの作り方】

筆者のようなきっかけは殆どないでしょう。では、どうするか。それこそ「お子さんの興味のあること」の出番です。漫画のタイトルでもゲームのパッケージでもOK。「この文字カッコいいよね。真似して書ける?」と話すだけで効果は全然違います。徐々に教科書の漢字にも興味を持つように仕向けていければいいんです。そして、絶対に誉めること。最初は下手で当たり前。下手な所を指摘するより、上手に書けた所を誉めることで子供は喜びを覚えます。

【真似してはいけない文字に要注意!】

と、模写の重要性を説いてきましたが、携帯やパソコンの小さな文字は真似てはいけません。サイズの都合上、横線が一本なかったり、見づらくて正しい文字を覚えることができないんです。それと、例外的に鉄道会社の「鉄」というロゴは絶対に真似てはいけません。「金を失う」と書く「鉄」を縁起が悪いとして、「金に矢」というロゴを利用していることがあります。このロゴを覚えていた筆者は、高校生のときに行なわれた漢字書き取りコンクールで、単独満点達成を逃した物凄く悔しい思いをしています。